顧客はサービスを買っている 顧客満足向上の鍵を握る事前期待のマネジメント

「顧客はサービスを買っている 顧客満足向上の鍵を握る事前期待のマネジメント」諏訪 良武 (著) 北城 恪太郎 (監修) を読みました。

印象に残っている2つのエピソードを引用。

P39 ホスピタリティサービスは、マニュアルサービスの土台の上に築かれる

A社のハンバーガーショップのカウンターでハンバーガーを注文し、支払いの際に間違ってB社の100円引きのサービスチケットを渡したところ、何もいわずに100円値引きしてくれ、さらにA社のサービスチケットを渡され、にっこり微笑んで「次回からは、当店のサービスチケットでお願いします」といわれて感動したという話を聞いたことがある。その後に確認してみると、これは、A社のマニュアルに記述された標準サービスとなっているとのことであった。競争相手がコストをかけて作ったサービスチケットを渡してくれたということは、お客様を勝ち取る絶好のチャンスが到来したのであり、このマニュアルによる対応は、極めて合理的である。これは、マニュアルサービスの奥の深さを教えてくれる好事例だと思う。

P59 製造業は「秒」単位なのに、サービス業は「時間」や「日」単位でマネジメントされている

製造現場をご存知でない方は、驚かれるかもしれないが、製造業の製造ラインは、作業時間をストップウォッチで計って作業の効率化を議論する。作業手順や部品の置き方などを実際に計測しながら決めていく。さらに、ベルトコンベアにより、決められた時間を守らざるを得ない仕組みが出来ている。仮に、作業者がトイレに行きたくなると、ランプを点灯させて応援を依頼し、決められた時間でトイレを済ませてラインに戻る。これが工場内の当たり前の作業である。つまり、工場の時間管理は「秒」なのである。秒で管理されているということは、1秒のロスを問題にして改善が進むということである。
これに対して、大半のサービス業の時間管理は、厳しいところでも「時間」であり、業種によっては「半日」や「日」単位で、マネジメントされている。日で管理されているということは、1日よけいに時間がかかる場合は問題視されるが、1日以内のロスは問題にならないということである。これではサービスの効率は上がらない。企業改革に取り組んだ頃、オムロンフィールドエンジニアリングの時間管理は15分から1時間であった。これを関係者の努力で1分単位にすることができた。これだけですばらしい生産性の向上が計れたのだ。
同じように、お金の単位も工場は「銭」で管理され、1本のねじを省くと、50銭のコストダウンが図れると議論している。これに対してサービスでは千円とか万円が単位になっている会社が多い。せめて、これを一円単位で管理できるようにすると、大きな改善につながる。

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